つぶやき前ちゃん

2024年06月29日 11:14

〈田舎の花火〉
たまや〜、かぎや〜。花火といえば、隅田川。小千谷の四尺玉。
大体は、川のある場所、川岸から打ち上げられる。
私の田舎は違った。町の真ん中にある、館山という山というか、町のどこからでも見える小高い場所だ。隅田川などは、2万発とか間髪なく打ち上げて、息もつかせずこれでもかと、歓喜を引き出す。また、小千谷は、なんと言っても4尺玉だ。それだけでかなりの興奮を引き出す。でも、我が町はちがった。回覧板でプログラムが配布される。確か、200番ぐらいまでのプログラム進行しかない。大きくても尺玉、メインはスターマインだ。これを2時間かけてやるのだ。まず1番は号砲。朝10時になると、その日の天気をおおよそ見て、大会決行の連絡として打ち上げられる。『パンパン、パンパン』これで親も子も、今日の行動が決まるのだ。
昼頃から、落下傘花火が打ち上げられる。風のまま流れていく落下傘を子供達は夢中で追いかける。田畑、人家の庭、何せひたすらまっすぐに。その落下傘の垂れ幕部分には、醤油一升とか米二升とか清酒一升などなど、景品名が書いてあるのだ。私は取ったことは無いが、兄が味噌をもらって帰ってきた。体力と足の早さと町の地形の記憶が勝負を決するのだ。そして夜、花火の始まりだ。ゴザを敷いて、お袋の作ったお弁当をたべながら、いつもの場所で家族みんなで観覧だ。花火は、プログラム順にアナウンスがあり、『只今の提供は、〇〇商店、夜空を彩るスターマインでした』などと町全域に都度、放送されるのだ。テキ屋もでる。年に一度の町民の楽しみ。なんてのどかな、お祭りだったのだろうか。

記事一覧を見る