我が町の街路樹の欅は、奇妙である。この時期全て枝打ちされてしまうのだ。いつからか、東口のメイン通りの両サイドに町の景観を意識して数十本植えられた。しかし、梅雨が終わる頃は、青々として町を美しく彩ってくれるはずが、無残にも枝打ちされて、当初の目的は全く果たされていない。私の五本の指の第二関節から切り取られたような感じだ。すごく痛々しい。
何故?...? それは、ムクドリ。
夕方になると、寝ぐらとした街路樹に大群をなして帰って来るのだ。全ての欅の枝に隙間なくとまり、余った者は、電線又は、建物の屋根にぎっしりと並び枝の隙間を狙っている。
ピィピィピィピィうるさい。また、フンが、どの木の下も、電線の下もすごいのだ。匂いも感じる。
我が町は、ちょうどこの頃夏祭りがある。メイン通りは、テキ屋の屋台と人で埋め尽くされる。
おそらく、苦情と祭りを考えた結果、欅は枝打ちされたのだろう。
町の欅の木もえらい迷惑な事だ。でも、ここで追いやられたムクドリは、またどこかの欅の街路樹にとまり、そしてまた欅が枝打ちされ、またムクドリは、別の場所へ行く。現に、我が町の欅が青々とした頃は、またムクドリが帰って来るのである。堂々巡りなのだ。